本楽家 ( ほんがくか ) 通信

本にまつわるあれこれを楽しむ、日本本楽家協会の活動報告です。

極めている人の話は面白い!


 大学生の頃は「青春18きっぷ」をよく使いました。
 知らない人に簡単に説明するとこれは1枚で1日JR各線(普通列車ですが)乗り放題となるものです。発売および使用期間がちょうど春、夏、冬休みに合わせているので、貧乏学生には非常に助かりました。
 買ってすぐに使う先は大抵、大都会(!)東京へ行くためでした。といっても行き先は神田古本屋街。当時住んでいたところからだと、行きは朝早くの鈍行列車に乗るとちょうど10:00頃に着きます。そしてぐるっと古本屋街を周り終わるのが、夕方頃。帰りもまた鈍行列車に乗って帰ってきて、着くのは23、24時頃。まさに丸一日。
 卒業一人旅では憧れの地、九州をぐるっと一周して来ました。その間の泊まりは大学の友人宅であったり、ユースホステルであったり、駅のホームであったりいろいろと...。

 そんな私が本屋でたまたま見かけたのが菊池直恵さんの「鉄子の旅」。その頃、すでにこの漫画はかなり話題になっていたらしい。そして読んでみると確かに面白い!!
 この漫画の主役は「旅の案内人」横見浩彦さん(に違いない)。横見さんは日本全駅下車という偉業(なのか?)を初めて達成した人だそうです。
 この漫画を読んでいると横見さんの鉄道、駅に対する人一倍のこだわり&愛情がひしひしと伝わってきます。しかしこの漫画の面白さはそれで終わってません。漫画家、菊池直恵さんが「一般人」代表ともいうべき立場でかなり冷たく(笑)、横見さんの鉄道オタクぶりを切り捨てているのです。おそらくこの二人の「冷静と情熱のあいだ」にこの漫画の面白さが詰まっているような気がします。
 
 ところでこの漫画を読んで思ったのは、このようにあるものを極めている(ここでは鉄道)人の話ってじっくり聞いている(見ている)と面白いなぁということです。その人がそれにハマってしまった理由を垣間見ることができた時、やはり自分もその対象を面白いと感じているからだと思います。そしてその瞬間というのは、日常のあらゆるものに興味を持っていた小さい頃の自分に戻るからなのでは..なんて思ってしまいます。

 蛇足
 この第4巻の奥付、初版第一刷発行の日付が 2005年「9」月1日となってますがこれはあり(?!)。いくらなんでも...。