本楽家 ( ほんがくか ) 通信

本にまつわるあれこれを楽しむ、日本本楽家協会の活動報告です。

私だけの世界一使える図書館「物理」


 「物理学とは物の理(ことわり)を知るものであって、心の理を知る心理学と対比するものである。」

 なんてことを大学時代に先生から授業で教わった。
 物理学と心理学とを比較対象とする事なんてまったく思いつかなかったせいか、これはとても印象に残った言葉でした(授業内容覚えておらず!)。

 どうも「心理学」とついている本がよく売れているのに比べ、「物理学」とついている本はあまり売れてなさそうな気がするのは、まさに気のせいでしょうか?

 きっと『ぶ』つり、なんて唇を震わせるような音が人に不安感を与えてるので、なかなか売れないに違いない!!

 ちょっと茶化してしまいましたが、物理とついていない本でも物理に絡んだ面白い本は沢山あります。
 最近では特に「家庭にある物で手軽に親子で楽しめる面白実験本」(タイトルいっぱい継ぎ接ぎしてみました)が人気があるように感じます。
 でもここで紹介するのは純粋に読み物として楽しめる本です。

 ジョージ・ガモフ/ラッセル・スタナード「不思議宇宙のトムキンス白揚社

 もともとは同じ白揚社からガモフ全集として出ていた中からトムキンス・シリーズを抜き出し、その話の内容的に「古い」点をラッセルさんが書き直したものです。
 
 話は主人公トムキンスさんが、ひょんな「キッカケ」で不思議な世界に迷い込みます。
 そこでトムキンスさんが目にしたのは、走っている方向に信じられないほど潰れた状態の、自転車に乗った若者でした...。これはどうゆうこと??

 トムキンスさんの不思議体験をベースに、相対性理論量子論といった「難解な」話をやさしく、そして面白い話として読ませてくれます。

 いわゆる式や記号もちらちら出てきますが、あまり気にならないと思います。
 物理とは縁のないより多くの「一般読者」に読まれるべき本。
 出来れば文庫化してほしいと思っている本の一冊です。