2軒目 名古屋「ウニタ書店」
久しぶりに愛知の実家に帰ったので名古屋に行って来ました。
ところで私が名古屋に行く目的はといえば、ほぼ100%本屋に行くこと。
これは自分で本を買うようになった中学生から変わっていない。
よって私が
「名古屋に行ってくる。」
と家族に告げる言葉は、自動的に
「本屋さん巡りをしてくる。」
と意味変換されることになります。
大抵この「名古屋に行く」場合の通常コースは、鶴舞駅からの(自称)古本屋通りをいくことになるんですが、今回は時間がなかったので別のコースを行くことにしました。
今回紹介するお店は、はるか昔「塾帰りコース」としてよくまわったお店の一軒、千種駅で降りて10分ほど歩いたところにある「ウニタ書店」お話。
ウニタ書店は店内の通路がちょうど"P"の字になる小さな新刊のお店です。
写真を見てわかるように人文系のお店で、ハードカバーがほとんど。あとは新書と岩波文庫をはじめとするどちらかといえばカタめの方の文庫、そして古本の文庫、新書が2段ばかりと雑誌が一抱え程度。
ここで告白!なんだかんだ言って、実はこのお店で本を買った記憶がありません(!)。
理由は内容的に自分とかけ離れていると思っていたことと、そもそもハードカバーなんて買うほどお金の余裕がなかったので、もう機械的に行くだけでした。
では大人になった今回の成果は...昔と同様、今回も買うものがなかった。
というよりも今回は私が買おうと思っていた本が見つからなかったのです。
そこで例のごとくそのまま出ようと思ったのですが、せっかく十何年ぶりかに来たので3冊100円の文庫の古本の棚からちょっと面白そうな本を2冊見つけ、レジに向かいました。
そういえばこうした○冊いくら、というときには本の数を無理矢理にでも数を合わせて買うというのがやっぱり普通でしょうか?
今回の私は、値段もたった100円だし読まないような本は買いたくないので、2冊で我慢しました。
さてお店は店主一人。店主はどうやら変わったようです。それともバイトの方でしょうか?
私と同世代位、ひょっとしたら若いくらいの男性で、人当たりの良さそうな感じだった。
その若店主が案の定、
「3冊100円ですがいいですか?」
と尋ねてきました。
私は構わない旨を告げました。
すると、
「じゃあ」
と言いながら出た次の言葉が
「66円です。」
??耳を疑った。
100円でいいですよと100円玉を差し出して言う私の言葉を
「タダで差し上げてもいいくらいですから」
と遮りながらおつりをくれました。
なんだか律儀だなぁという思いと、長時間本棚を眺めたあげくまとまった買い物もしなかった自分が恥ずかしくなって、つい自分の探している本があるか聞いてしまいました。
それにはもしあればラッキーだし、若店主からの「借り」も返せるという思いもありました。
残念ながら、というか案の定ありませんでした。
すると若店主は次に
「本の表紙見た事ありますか?」
と聞いてきました。
ないと答えると、
若店主は素早くパソコンを操作して、わざわざ表紙の写真が載っている資料をプリントしてくれました。
これにはちょっと感動してしまいました。
本屋さんにはかなり行くほうだけれど、お店の人とはほとんど会話したことがないですし、また会話といってももちろん探し物と注文くらいでまさに事務的な会話ばかりです。
今回のような、なんだか血の通った会話というのは新鮮でとても気持ちがよかったです。
そしてお店を出るときの若店主の爽やかな笑顔と
「どうぞ、またお越し下さい。」
の挨拶もまた気持ちをさらに明るくさせた。
ホンの僅かな、そして自分勝手な「借り」ですが、次回来るときはキッチリ「借り」を返せるように、あのお店向きの本は他のお店では買わずにいておこうと思ってしまいました。