『本の散歩道』第2回 (学習院生涯学習講座)報告
岡崎武志氏による『本の散歩道』第2回。
今回の主な内容は次の3つ。
1. 文学を歩く(文学散歩)
2. 抜き書きノートの作成
3. 最近買った本の紹介
1.は岡崎氏が逗子へ行った時のお話でした。
そもそもは岡崎氏が連載中の古本屋巡りの行き先を考えている時、ふと目にしたテレビに映っていたのが「海」。
その映像が故・茨木のり子「根府の川」の詩とともに映っていた。
「そうだ、海へ行こう!」(筆者による脚色あり)
こうして逗子にある古本屋「海風舎」を尋ねる事となった。
しかも岡崎氏のスゴい所はそれで終らないところ。
逗子出身の中里恒子「時雨の記」(文春文庫)を読んでいたこともあり、中里氏の子供頃住んでいた家を探しにいったのである!
さらには、その近くにある(徳富)盧花記念公園を訪ねたり、そこから海に向かう事で「太陽の季節」の碑(そのようなものがあるらしい)を見つけたりと、まさに文学散歩に相応しい内容である。
小説を読んでその舞台となる地をゆくのもよし、その地を訪れてから読むもよし、どちらにしても本を読んでいるだけではわからない事がわかったり、思わぬ発見があるという話であった。
しかし文学散歩の話はこれでは終らなかった!!
まったく別の理由から、岡崎氏は谷崎潤一郎「細雪」を読む事になるのだが、この中で先の逗子が出てくるのである!
しかも読んだのは、上記の古本屋に訪問の電話を入れたすぐ後!
なんという偶然!!
私もそうだが、きっとこのような偶然というのは本を読んでいるとたまにあることだと思う。
こうした偶然の楽しみも、文学散歩のような読書とは別の行動をすることでさらに倍増するのではと思った。
2.では、上記に挙げた「細雪」を例にその面白さを紹介してもらった。
この「細雪」というのを読む際に、B6版ノートに抜き書きをしていったのである。
そのやりかたは「風俗・趣味」、「月給」、「外国人」、「医者・病気」等(実際はもっと多い)といった項目を立て、それに関連する文章が出てきたら抜き書きするというもの。
これをやると、あとで見た時に思わぬ発見があったりするという。
例えば「細雪」には実は非常に多くの「外国人」が登場しているとか、登場人物にはそれぞれ何かしらの病気を持っているだとか、普通に読んでいてはさらっと流してしまう所に注目がいくのである。
つまり抜き書きによって、より小説が自分の身につき、深く、そして面白く読めるというものである。
これ以外にも抜き書きの楽しみの話がいくつかあった。
3.の本の紹介では、
前回にもあった、「マイブック」の面白日記紹介など、何点かの紹介があった。
今回、面白く感じた点は「本を楽しむには本を読むだけじゃいけない」ということを岡崎氏は実践例によって示してくれたところ。
しかもとても楽しみながら実践しているのがなんともいい!!
(さらに言えば、それを仕事のタネとしており、お金も稼いでいるので羨ましくていい!)
私としては文学散歩も是非やってみたい!
抜き書きノートも再挑戦(実は昔やって挫折した)したい!
と、またまたやりたい事が増えて、本の楽しみは尽きないのであった。
さて残すところあと1回(3回じゃ少なすぎる!!)。
次回の予定テーマは「文庫本」。
今から猛烈に楽しみ!!