山崎豊子「花のれん」新潮文庫
Yahoo!ブログ「アンディ日記」のおじゃさんから、昨年の忘年会でプレゼントしてもらった本。
船場の呉服店に嫁いだ「多加」だったが、亭主の寄席道楽のために店は潰れた。
それほど好きなら寄席道楽を本業に、ということで寄席を始めたのだが肝心の亭主は死んでしまう。
一人息子と共に残された多加は金儲け一筋に生きる事を自らに誓い、ついには大阪きっての一流寄席の席主へと登り詰めてゆく。
多加は呉服屋亭主の妻として、一人息子の母として、そして一人の女として生涯を送るはずだった。
しかし亭主が死んだことにより妻ではなくなり、多額の借金返済のために息子の母であることも放棄。
そして女として生きることさえもやめて、商売一筋に生きようとした主人公、多加には終始圧倒されっぱなしだった。
最初のうちは多加の「大阪商人のど根性」ぶりに嫌悪感させ抱いた。
しかし母として満足に接してやれなかった息子に対する複雑な思いや、女の「業」を崖っぷちで抑えながら商売に徹する様には天晴というよりは同情のような気持ちが湧いた。
大阪弁による駆け引きのシーンはボクシング。
こぶし(キツい言葉)のままで殴り合うのではなく、グローブをはめて殴り合う。
お互い相手の様子を窺いながらパンチをくりだす。
ラストシーンは非常に印象的だった。
仕事をしている女性には多加のような女性はどう見えるのか気になった。
最後に。
おじゃさん、ありがとうございます。
面白く読めました。