本楽家 ( ほんがくか ) 通信

本にまつわるあれこれを楽しむ、日本本楽家協会の活動報告です。

本のタイトルリレー第2周第4番「子どものことを子どもにきく」


 本のタイトルリレー、気づいたら1ヶ月以上持ったままでした。

 「読書のあしあと」の大三元さんから「子どもが減って何が悪いか!」という本を受けて、次の本を読みました。

 「子どものことを子どもにきく」杉山亮(新潮OH!文庫)

 これは著者がその息子にインタビューした記事をまとめたものです。
 インタビューは息子が3歳から10歳になるまで、毎年一回の間隔で行なわれました。
 
 このような子どもに話を聞くような本で私がついつい期待してしまったのは次のような事です。

 1. いかにも子どもというトンチンカンな回答で笑わせてもらう。
 2. 子どもゆえの純粋な発言によって、今まで当たり前と思っていたことに改めてハッと気づかされる。
 3. 子どもの発言を深く捉えて哲学的な事柄と結びつけた結論を得る。

 確かにそれなりに笑わせてもらうところもあれば、子どもながらにキチンと考えて発言しているんだなぁと感心したりはしました。
 そもそも第一回目のインタビューのタイトルで笑えます。
 『<三歳の隆さん> 神を語る』
 三歳児が神の何を語ってくれるんだ?と興味津々。

 しかし結論から書くとインタビューから先にあげた3つの期待はあっさり裏切られました。
 
 では得るものはなかったかといえば、ありました。
 それはインタビューではなく、そのあとに書かれた第?部(インタビューは第?部)「子どもと対話する意味-インタビューをして考えたこと」です。
 その部の最終章「インタビューの勘どころ」は興味深く読めました。
 その章では著者がインタビューしてきて気づいた勘所が10項目書かれています。
 以下、最初の4項目だけ抜粋してみます。
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 ?子どもだからおもしろいことを言うと期待してはいけない。
 ?「子どもだから言ってもわからないだろう。またたずねても答えられないだろう」と甘く見たり、過保護にしない。
 ?大人なりの都合のいいところ(たとえば文章にしたときサマになっている言い方とか大人から見てユーモアが感じられるセリフなど)に誘導しようとしない。
 ?大人がすでに答えを知っていることをわざわざたずねない。
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 これらを通して感じた事は子ども扱いをしないことです。
 対等の立場、あるいはインタビューする側として敬意を払わなくてはいけないということです。
 これは何もインタビューする時だけでなく、常にそうあるべきではないかと思います。
 大人は子どもにしつけを教え、教育していく義務がある事は当たり前ですが、それと同時に同じ一人の人間同士として付き合っていく事も必要ではないかと感じました。

 最後の章は10ページ程度です。
 興味のある方はそこだけでも目を通しておくとよいかもしれません。


 ということでこのタイトルリレー、「子ども」「の」「こと」「を」「に」「きく」のいずれか最低一つを含んでいる本を選んでくださいませ。
 次の方は別途、お願いに伺いますので、どうかよろしくおねがいします!!