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本楽家 ( ほんがくか ) 通信

本にまつわるあれこれを楽しむ、日本本楽家協会の活動報告です。

23件目 久々の活動となるも完敗したお店

本屋・古本屋

私は文庫好きなので、必然的に文庫が多い古本屋ではやる気(買う気?)が倍増する。

今日は外に行く当てもないため体を持て余していたが、
文庫ばかりの古本屋があるという情報を得るとさっそく外出することにした。

目的の店に行く途中、二軒の古本屋が独自の個性を振り撒きながら私の前に立ちふさがった。

しかし文庫まみれの総本山を征服、という大きな使命がある。

そんな私にとって二軒の誘惑には見向きもしなかった。
二軒まとめて小一時間かけて合計三冊を購入。
誘惑をものともせずにはねのけると(!?)ウォーミングアップ完了。
いよいよボスキャラの巣窟へと敢然と向かった。

最初に挑んできたのは均一棚だ。
しかし並の均一棚ではなかった。
文庫と新書ばかりで1冊50円、3冊100円である。
まぁこれもそれほど珍しくはないかもしれない。
しかしここの城兵の装備は一風変わっていた。
一冊残らずビニール袋に入れられていたのである。

城兵にここまで手間暇かけるとは...。

出鼻をくじかれたがなんとか体制を立て直し、
じっくり三冊を選び出していよいよ本陣に向かうべくドアを開けた。

するとそこには!!

まさに文庫だらけの棚たちが城壁よろしくどっしりと控えていた。
棚の並びが一見してわからないようになっているのは、迷わせて帰らせない戦法か。

なんだかんだ言いつつすでに文庫の魅惑に翻弄されてた私は
何の戦略も立てることなく目の前の棚から突っ込んでいった。

振り返るとすでにここで勝負がついていた。

ほとんど心奪われてトリコとなっていた私は店内の半分程見てやっと恐るべき策略に気付いた。
280円以上の棚が全体の6割としたら、残り4割の棚は190円均一。
しかもそれらは5冊で500円。
6冊以上は一冊100円。

「3冊、4冊より5冊の方が安い」

なんて御丁寧にも書いてあるではないか。

挑発にまんまと乗った私は、二冊程度で済ますものかと
まずは軽やかに三冊を選んだ。

しかしそこで足踏み。

棚を何度も往復するが、それ以上、心揺さぶられる本が見つからない。

もはやこれまでか!

と諦めの境地でうつむくと...まだあったではないか。

地べたから平積みされているベンチ入りできていないと思しき本たち。

普段、諸々の理由からこうした本には目を向けないのだが今日はそんなことも言ってられない。
文庫より小さなプライドをあっさり捨ててひざまずくと、
首を横に傾げながら二軍選手と思しき本達を一心不乱に見ていった。

即座に反省。

ベンチ入りできないどころか、私のドラフト候補に載っている本があるではないか。

それでもやはり手間取りながら最後の五冊目を選ぶと、
「今日はこれくらいで勘弁してやろう。」
と独りごちながらボスキャラのいるレジに向かった。

久し振りに楽しめたひと時だった。

この興奮をなんとか店主に伝えたいと思った私は
釣り銭をもらうタイミングを見計らって
「ここ文庫凄いですね!」
と若干緊張気味に言ってみた。

聞こえているはずであろう店のオヤジはうつむき加減に黙って釣り銭をくれただけであったが、
その顔には幾分恥じらいと満足感が混ぜこぜになった笑みがあったのを私は見逃さなかった。


〜今回の戦利品〜
アイリアノス「ギリシア奇談集」(岩波文庫)
加島祥造「アメリカン・ユーモア」(中公文庫)
佐竹昭広「古語雑談」(岩波新書)
團伊玖磨「毒ヘビは急がない」(文春文庫)
藤原正彦「決定版 この国のけじめ」(文春文庫)
真鍋博「発想交差点」(中公文庫)
高木仁三郎「プルートーンの火」(教養文庫)
藤村幸三郎「直観パズル」(河出文庫)
吉行淳之介「恐怖対談」(新潮文庫)
別冊奇想天外NO.5「SFマンガ大全集」