佐藤多佳子「しゃべれども しゃべれども」新潮社
落語家、古今亭三つ葉がひょんなことから素人三人に落語を教えることになった。従弟の良にワープロオペレーターの十河、そして小学生の村林。この三人が皆それぞれワケあり。
翻って三つ葉はといえば、これはまだ二つ目という身分で今はスランプ状態。
とにもかくにも、悩みながらも落語教室を行っていると、4人目が見学にやって来た...。
落語の話だけあって、スタートは小説も落語を聴いているような感じでテンポ良く読んでいける。
単純なお笑い小説だと思って読み始めたがそうではなかった。
三つ葉をはじめとする「しゃべり」も面白かったが、しゃべりとしゃべりの間、沈黙シーンでは、個々のキャラクタがどんな思いでいるのかを想像するのが面白かった。
TVドラマ化するならNHKかなと思うほど、安心して読み進められる(悪い意味ではなく)。